活動理念
JMCAの使命
JMCAは、音楽を芸術形式としてのみに限らず、社会の生きた記憶装置として捉え、過去・現在・未来を架橋する文化的プラットフォームの創出を目指します。
音楽が紡ぐ様々なストーリーを通じて、私たち自身、社会、そして世界を理解するための新たな地図を描きます。
趣意書
わたしたちJAPAN MUSIC CULTURE ACADEMYは、名前に“ MUSIC CULTURE=音楽文化”という言葉を入れています。
音楽は文化です。
音楽文化とは何で、誰が作るものなのでしょうか。
音楽をめぐる状況は社会やメディア、テクノロジーとともに変わり続けてきました。蓄音機やレコードの誕生以降、音楽は録音物として時間を超えて世界中へと届けられるようになり、現在では音楽は非物質的データとなってより広く世界に拡散し、様々な手段で再生され続けています。
SNS、ストリーミング、サブスクリプションなどの普及によって、音楽はこれまでと違う環境のなかで受容され、AIの台頭によって、また新たな転換点を迎えています。
新しい音楽が無数に生まれ続ける中、数十年前の音楽も同じように聴けるようになり、当時生まれていなかった世代が新しい音楽として出会う。それは、新しく生まれる音楽も、長い歴史をもつ音楽も境界がなくなったということです。
好きなときに好きなところで、好きな時代の音楽を聴くことができるようになった今、音楽を取り巻くさまざまな環境も、より自由になったと言えるでしょうか。
かつてレコードやCDなどに付属していたブックレットには、プロダクトとしてのデザイン性や愛着はもちろん、制作に携わった人々のクレジットやライナーノーツの掲載という役割がありました。
それは、ひとつの音楽が生まれ、形になり、届くまでに、さまざまな人々の関わりや過程、背景があることを知る、ひとつの音楽作品が持つ物語を伝える記録でした。
アーティストがどんな制作環境で曲をつくり、誰が演奏し、誰が録音整音し、何の楽器が使われ、どのスタジオで録音されたのか。どんなビジュアルプレゼンテーションが行われ、雑誌やメディアではどんな言葉が語られたのか。広告用のポスターやチラシ、コンサート会場で買えたグッズ、さらにはファンたちが自作で作った応援グッズなど、すべての歴史がわたしたちの音楽文化です。
それらを知り、発見を得る機会は、現在、未来の音楽を創造する源泉です。
第二次大戦終戦の1945年に生まれた人が、80歳を迎える2025年。戦後日本のポピュラーミュージックの歴史を作ってきた世代の訃報も年を追うごとに増えています。当時の紙資料やフィルムは、関係者やファンが個人的に所有しているケースが多いですが、高齢化にともない散逸しています。
時に、何かしらの理由で情報化されなかった作品や出来事は、存在した事実さえ、時代の記憶から消えてしまうという可能性もあります。
音楽は、関わるすべての人によって紡がれる文化です。
音楽文化は、わたしたちひとりひとりの記憶であり、歴史です。
音源だけでなく、コンサート、フェスやライブハウス、ファンクラブ、ファンダム、ファンジンも文化の一部です。
シンガー、ミュージシャン、プロデューサー、エンジニア、ディレクター、マネージャー、ディストリビューターも、プロモーターも、レコード会社も、メディアも、楽器メーカーも。ファッション、写真、映像、グラフィックデザイン、そしてリスナーも。ここに挙げたもの以上に音楽文化の中で語るべきものはたくさんあります。
音楽文化の豊かな営みの記録を残し、新たな創造の源泉として活かしていくことは、未来の音楽により深い広がりをもたらすはずです。
JMCAは、音楽を愛するすべての人々との共に、その実現に向けて歩みを進めていきます。
Japan Music Culture Academy